防げるがん、胃がんとピロリ菌

2019年の日本人の死因の約25%は悪性腫瘍、すなわち“がん”でした。胃がんはがん死亡の約10%を占め、男性が罹るがんで2番目、女性では4番目に多く、年間に約13万人が胃がんに罹っています。ヘリコバクター・ピロリという細菌が胃に感染して胃がんを引き起こすと考えられており、ピロリ菌を退治することで胃がんのリスクを下げることができます(図)。

ピロリ菌がどうやって人間の胃に感染するかはまだ明らかになっていませんが、免疫力が未熟な幼児までの間に水や食べ物について口から感染すると考えられています。ピロリ菌は胃酸から自分を守る仕組みを持っているため胃の中に住み着くことができ、ピロリ菌が長年住み続けることで慢性的に胃に炎症が起こり、胃炎や胃潰瘍、そして胃がんを引き起こします。

ピロリ菌が胃に感染しているかどうかは、血液検査や呼気試験などで調べることができます。ピロリ菌に感染していた場合は、2種類の抗生剤と1種類の胃薬を1週間飲むことで治療をすることができます。この治療方法の成功率は90%程度で、失敗した場合は治療内容を少し変えた再治療を行います。大人になってからの感染はほぼないため、一度検査を行い、必要であれば治療を行っておくと胃がんの心配がぐんと減ります。ぜひ一度かかりつけの先生などに相談をして、検査・治療を受けることをお勧めします。ピロリ菌をやっつけて、健康な胃で楽しい食生活を送りましょう。

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